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TOP > バウの道中記 > 2011/1/24
 

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 point 【rain-bow】
 point 【714Xと6人の医師】
 point 【古代への旅】
 point 【Pastime】
 point 【18のバス停】
 point 【I Thought About You】
 point 【HOMEに帰ろうぜ】
 point 【山月記に学ぶ】
 point 【風 散々と】
 point 【これで、いいのだ!】
 point 『注文の多い料理店』
 point 【曼珠沙華】
 point 【きつねの夕食会】
 point 【キラリ 札幌地下鉄】
 point 【ゴキブる】
 point 【水道水を飲む】
 point 【夏休み】
 point 【ガイア セブン】
 point 【田んぼの中の露天風呂】
 point 【父は空 母は大地】
 point 【ラジオの話し】
 point 【よければ一緒に】
 point 【シベリア鉄道】
 point 【1分で充分だった】
 point 【病みながらも生きて行く】
 point 【がんの催眠療法】
 point 【テニアン島の怪】
 point 【東京銭湯】
 point 【12月の雨の日】
 point 【しあわせって・・・】
 point 【ダダ・チャイルドの明輝人くんへ】
 point 【犬のようちえん】
 point 【東京タワー】
 point 【希望は踊っている】
 point 【Slow Dance】
 point 【道頓堀でカヌー】
 point 【野の花診療所】
 point 【バウ塾】
 point 【ジョン・レノンな私】
 point 【もっとCM見ようね】
 point 【朗報・みっつ】
 point 【あやまりの旅】
 point 【地球をいやそう】
 point 【言葉が消えた・・・】
 point 【四国から・・・】
 point 【3つのビルの謎】
 point 【聖地・チベット】
 point 【事業仕分け】
 point 【途中退席賞】
 point 【ノーナプキン】
 point 【船首漂着】
 point 【大ボラを吹く人たち】
 point 【きづきの瞬間】
 point 【LOVE ME TENDER】
 point 【親子3代つながった】
 point 【水虫の唄】
 point 【自分の足で】
 point 【あの純真さに学ぶ】
 point 【おいしいコーヒー】
 point 【何を目指したか】
 point 【ダムのない川】
 point 【愛おしくて】
 point 【タタの面白さ】
 point 【15秒のCM】
 point 【REGEND 重い扉】
 point 【起業課を新設】
 point 【開け!にっぽん】
 point 【ピンポン!】
 point 【夢から一歩】
 point 【名人戦】
 point 【セバスチャン氏との出会い】
 point 【やっぱカヌーだよ!】
 point 【カナダセミナー報告】
 point 【希望への讃歌】
 point 【アンソニー・フィリップス】
 point 【ウイルスの政局話し】
 point 【Muzinzo vol.1】
 point 【MOXとCANOE】
 point 【地球マンの声】
 point 【人間家族】
 point 【無為自然】
 point 【おくっとこ】
 point 【ベーシックインカム】
 point 【ロビー活動】
 point 【ハワイな予感】
 point 【フードバンク】
 point 【勇気ある卵】
 point 【類は友を呼ぶ】
 point 【内を向いて歩こう】
 point 【ウォーリーの家】
 point 【お弁当の話し】
 point 【素朴な里と人】
 point 【714X 未知の道】
 point 【似顔絵の作り方】
 point 【大好きだよ!】
 point 【ハプチョンに行くぞ】
 point 【予約販売 GOGO!】
 point 【最後のニュース】
 point 【足るを知る】
 point 【骨董通り散歩】
 point 【薪割りの季節】
 point 【Hymn To Hope 】
 point 【こころの意味】
 point 【行きと帰り】
 point 【お誕生日】
 point 【108の祈り・後】
 point 【108の祈り・前】
 point 【てるりん慕情】
 point 【オフコース】
 point 【読書三昧】
 point 【カナダ報告2】
 point 【どんでん返し】
 point 【ストリートビュー】
 point 【帰りたい】
 point 【カジカ鳴く夕暮れ】
 point 【日の目を見る】
 point 【うぶに還る】
 point 【純真な動き】
 point 【ぼ〜っとする】
 point 【常温核融合】
 point 【ナンバー117】
 point 【夢のひとつ】
 point 【カナダ報告】
 point 【タオと生きる】
 point 【ラップ療法】
 point 【Tibet Tibet】
 point 【千島学説セミナー】
 point 【ガストン・ネサーン】
 point 【BOOMERANG】
 point 【Yes,We Can】
 point 【宇宙を越えて】
 point 【マンハッタンのマグロの叫び】
 point 【食の研究所】
 point 【いのちの食べ方】
 point 【医学の進化】
 point 【育ち・なおし】
 point 【半農半X】
 point 【月に笑う夜】
 point 【911から見る未来】
 point 【中越沖地震】
 point 【慈しむ】
 point 【ひとり旅の冒険旅行】
 point 【HOME SWEET HOME】
 point 【動けば変わる】
 point 【豪快な号外】
 point 【今までのような暮らし】
 point 【森の魂 風の塔】
 point 【スローダンス】
 point 【白い森】
 point 【悲しい知らせ】
 point 【千島学説に学ぶ】
 point 【Beyond】
 point 【広島灯籠流し】
 point 【生徒諸君に寄せる】
  【サイコロの未来】
  【絶望に効くクスリ】
   【風になる】
  【まぁだだよ】
  【ほたるのものすごさ】
  【いいモノみっけ】
  【猫語の教科書】
  【廊下で立ってなさい】
  【21世紀第64回目 月の祭り】
  【アーティストが世界を変える】
  【天声人語】
  【自衛隊に入ろう?】
  【とある社内報2】
  【とある社内報1】
  【四方山ばなし】
  【歌舞伎町三者会談】
  【超秘密会議の打ち明け話し】
  【吹雪の中の水虫のうた】
  【イカ焼きとミックスジュース】
  【豊島問題改ざんサイト】
  【chanとまこっちゃんやど〜】
  【古武道とはなんぞや】
  【道後準備会】
  【竹炭名人芸】
※矢印をクリックするとメニューの一覧をみることができます。

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【バウの道中記】2011年1月24日  武蔵野  月笑庵

【18のバス停】

先週の14日(金曜)15日(土曜)16日(日曜)は札幌に入っていました。亡くなられた稲田さんを見送るためでした。事情があってご報告が遅く なりましたが、稲田さんと私の関係や距離感をご理解いただければと思い、 ここにアップさせていただきます。

稲田さんが逝去されたことを知った時に、私は稲田さんにむけて何らかの誠 意をお示ししたいと考えました。私と稲田さんとの関係はわずか6年ぐらい の期間しかないのですが、実にいろんな事をご相談しながら動いたので、そ の感謝の気持ちを表したかったのです。

ヒトはその時期その境遇に合わせて、親しい友人や同僚に恵まれるモノだと 考えて来たのですが、この6年間の稲田さんは、私にとって特に大切だと感 じていた5人衆の一人でもありました。この5人衆は、小学生のころからい つも私自身が、その時々のこころの友人に贈って来た敬称のひとつです。

さて、そんな大切な友人を亡くしてから、私は稲田さんに何が出来るのだろ うと考え込んでしまいました。考え尽くした結果、私個人が今現在一番足り ないと感じて、また必要だと望んで来た、自分の体力で誠意をお示ししよう と考えました。簡単に言えば、それは「歩く」ということでした。この半年 の間、少し歩いては貯め、また歩いては貯蓄して来た体力を、おしげもなく 使ってしまおうとなったのです。

私なりのつたない解釈ですが、これは1秒でも長く祈りを捧げる仕草と似通 った、祈りにも近い「歩き」をすることだと考え着いたのです。

1月14日(金曜日)・・・
通院中の病院から直接羽田に向い、この日の体力がすれすれの状態でホテル に着き、通夜の席には出席ができませんでした。
1月15日(土曜日)・・・
ホテルの朝食を1番早くいただき、雪でいっぱいの道を手稲の山の方角へと 歩き始めました。道路側には高さが2メートルぐらいの除雪された雪が積も られて、住宅側にはどこも私の背丈より高い雪が山になっていました。路上 はパウダー状の柔らかい道と、アイスバーンで車のワダチのでこぼこな道があって、雪道に慣れていない私には歩くだけでもたいへんだったのですが、 ときどき屋根から落ちて来る雪のかたまりにはおどろかされながら歩いて行 きました。

稲田さんと初めて会ったころから順番に彼を思い出していくと、記憶の中で 彼はいろんな表情であらわれてくれました。下の文章は、大手企業の社内報 に出された文章で、インタビューの席にライターとして参加したのが稲田さ んで、この文章も稲田さんがまとめられたものです。このインタビューの時 が稲田さんと最初にお会いした時でした。場所は札幌駅の横のホテルの一室 でした。大手企業の社長と秘書二人と一緒に稲田さんも来られて、社長と私 のインタビューを記録していたのが稲田さんでした。

【とある社内報1・2】
http://www.peace2001.org/2006/main/bow/20060110_bow_01.html
http://www.peace2001.org/2006/main/bow/20060112_bow_01.html

今回は、その時に使用したホテル会合のことを思い出しながら、札幌駅に近 い場所から7時半に出発したのですが、2時間歩いた場所でタクシーを拾う ことにしました。葬儀が10時からということでこれ以上は歩けない、間に 合わないと考えたからです。

会場には3分前に着きました。会場では長靴は私だけ、しかも防寒の山用の 服で参加したのも私だけでした。

受け付けは神戸から来られた清水さんご夫妻と、ガストン・ネサーンアカデミー設立準備室の吉武氏が担当されました。友人の挨拶として萩原 優先生 が最初にご挨拶されました。

ご親族と一緒に火葬場にも行かせていただきました。遺骨になるまでの1時 間半を私は火葬場周辺の雪の原野を歩きました。まだまだ歩きが足りないと 考えていたからです。途中稲田さんらしい煙があがって行く様子に手を合わ しました。

遺骨を集めたあと、元の葬儀をした会場にマイクロバスで戻ったのですが、 これから親族にむけて初七日などのご説明があるとのことで、私は1人別れ て、今度は札幌駅の方角へ帰りも歩くことにしました。まだまだ稲田さんと 二人の世界が足りないように思えて、日が暮れるまで歩くことにしたのです。

1月16日(日曜日)
この日は関東へ帰る日です。やはり朝食を一番にとって、7時半から、一路 新千歳方向に向けて歩き出しました。まだまだ歩き足りないと感じていたか らです。雪祭りの準備が始まった大通り公園を横切って、すすきのを過ぎて 苫小牧までつづく36号線沿いを歩くことにしました。

午前中は特に寒く、歩道はどこもアイスバーンになっていました。豊平川の 橋の上は靴の跡が全部凍っていて、でこぼこに足を何度もとられました。小 股で歩いていた私でも2回も転倒をしてしまいました。

稲田さんはよくこんな寒い街にすんだものだ。と感心しながら彼が何度も通 ったであろうこの36線を私はひたすら歩いて行きました。道の途中に何回 もバス停があったので、私はメガネをとって、小さな文字をみることにしま した。そこで分かったのですが、札幌駅から札幌ドームまで、18個のバス 停があったのです。私はすでに10個のバス停を通過していたようで、フラ イトの時間から逆算してもこの18個目の札幌ドームが時間の限界だと理解 させられました。

実はこの時にもうひとつ大切なことに気づく必要があったのですが、この時 はすでに体力がなくなり気が呆然としていましたので、そのことに気づくこ とができない自分になっていました。

なだらかな月寒の登り坂を越えた辺りで、道の先に大きな雪山が見えて来ま した。と思っていたら、一歩づつ近づくにつれてそれが札幌ドームだと分か って来ました。ドームの手前からは少し急な登りになっているのですが、そ れはまるで冬山の頂上を目指しているような、体力の限界に近い自分を感じ るような坂道となっていきました。

札幌ドームの横のバス停に着いたら、1分もたたない内に新千歳空港行きの バスが着いたので、私はハーハーと吐息を出しながらバスに乗り込みました。

空港に着いて私が最初にやったのは、診療所をさがすことでした。案内所や ガードマンにも聞いたのですが、この日は休日なので診療所は閉まっていま すと言われて、困り果ててしまいました。この空港にはたくさんの人が働い たり、出入りする人が多いにも関わらず、人の一番多い休日の日に、医師が 一人もいないのです。これはおかしいと大きな声で訴えたかったのですが、 すでに私の体調はおかしくなり、端っこの誰も来ない場所で、床に横になる しかなかったのです。

この日の夜、何とか関東の家まで帰った私は、夜の11時頃に呼吸ができな くなりました。心不全になる少し前に判断して、救急車を呼んで緊急入院と なりました。

私はこの「歩いた」経験で「生きる」と「死ぬ」の境目を感じることができ ました。実に、ざっくりとさっぱりとあっさりとした自分の生死の境目を見 たような気がしています。

・・・・・10日がたちました。また少し体力が戻って来たので、稲田さん のサイトのラジオに彼の声を聞きに行きました。2006年から始まったこ の番組は、全国でもめずらしいガン患者を対象にしたラジオ番組です。その 第一回の時から私も参加していました。

この時の私は、番組の中で何気なく伝えているのですが、すでに満天の星が 見えなくなっていた頃でした。
【じあいネット】2006年10月12日・第一回放送分
http://www.ji-ai.net/radio/y2006.php

稲田さん よくやったね! よくやった!もういっちょう よくやった!

 
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E-mail:bow@peace2001.org