やっと春になりそうですね。今年に入ってまだ寒い頃に、私の生活圏か
ら少し離れた所にお馬さんがいることを知りました。
私はあの目の大きなお馬さんが大好きでたまらないのです。今までいろ
んな動物たちと「交際」をしてきたのですが、お馬さんは特別待遇です。
毎年北海道の道東の方に行っていたのは、実はお馬さんに会いたいから
出かけていたのです。実は正直に言うとカヌーよりもお馬さんの方が好
きなんです(笑)。
誰もいない放牧場の中に3頭ぐらいのお馬が居たら、もうたまりません。
一日中でもそのお馬たちの仕草を観察するのが、私の一番のよろこびだ
と言っても過言ではありません。人生の至極の時。これが私の馬観なの
です。
ただし、今までお馬さんに出会う機会がたくさんあったのですが、まだ
一度も背中に乗りたいと思ったことがありません。私が乗ると言うより、
私の背中にお馬さんを乗せたいと思うのが正直な気持ちなのです。面白
いと思わないですか?お馬さんが私の背中に楽しく乗って、ヒズメで私
のスキンヘッドをパカパカ鳴らすなんて・・・。
北海道の放牧地でよくやっていることは、柵から少し入った所で、まず
はおいしいコーヒーをたてながら、その馬たちが少しづつこちらに興味
を持ち始めるまでのんびりと待って、こののんびりの時間が3時間や5
時間になることもしょっちゅうです。
数百メートル先のお馬さんであっても、小さな声でぼそぼそと話し始め
るのです。好きな歌を歌い始めることもあります。Ipodのイヤホーンか
ら流れて来る好きな音に1時間も体を動かしている時もあるんです。数
時間も本を読みながらこちらに来るまで待っていたこともありました。
そんな時にジグザグにのんびりと時間をかけて私の方に近づいて来てく
れるお馬がいたら、私の心の中は有頂天です。
遠くからお互いを観察し合って、気を許し合って、互いの違いを乗り越
えて、まじかにあの美しい大きな目と、このかぼそい目が会話を始める
のですから。そんな贅沢な時間があるから毎年のように、私は北海道の
道東の方まで出かけてしまうのです。
そんなお馬さんが、生活圏から自転車で40分ぐらいのところにいるの
が分かったのですから私は誰よりもこの暖かい春を待ち望んでいました。
で、
昨日行って来たのです。逸る気持ちを押させて、コーヒーを湧かすセッ
トまでバックに入れて、おいしいコーヒーも手に入れて自転車にも乗ら
ず歩いて行くことにしました。これは片道2時間以上の散歩となるでし
ょうが、そこは何のその。会えるんですから、お馬さんに。
30分ぐらい歩いたところで、街の様相が少しづつ変わり始めて、いつ
しか周りは春を待ち望んでいる一面の畑のあぜ道になって行きました。
『Slow Dance』と言う言葉が頭の中に浮かび上がって来たのです。
この『Slow Dance』と言う言葉は、神戸元気村をやっていた頃に町田の
角張さんからの紹介で知り合った画家の篠崎正喜さんの絵本から頂いた
私の理想とする歩き方のイメージで、その当時、苦悩としか言えない神戸
の街に、篠崎さんの夢いっぱいの絵本を植え付けたいと言う思いからこの
絵柄を使わせていただいて500枚のTシャツにした元の絵なのです。
篠崎正喜氏ギャラリー:
http://homepage2.nifty.com/m4s/jm.html (f-61 と f-m65 です)
『そうか、Slow Danceだよな〜〜。急がなくていいんだ・・・・・』
この前熊野にいた時に津波でJRが止まってしまって、その時ふと思いつ
いた歩き方を思い出したのです。この歩き方が『Slow Dance』なのです。
普通、よく言われている歩き方は・・・
●健康のため●大股で●早足で●10分以上歩くですが、その時に思い
ついた歩き方は、太極拳のように静かに呼吸を整えながら、体の重心をお
へその下の辺りに意識して時間をかけてのんびり歩く方法だったのです。
一歩足を進めたら、その足の裏っかわに意識を込めて、体重の全てを完全
に片足に乗せる。徐々に体重をおへその下辺りに持ち上げて、徐々に次の
一歩を静かに時間をかけて前に出して行く。この繰り返しです。難しかっ
たのは、両手の扱い方でしたが、最後の方は大きな鳥の羽根を思い描きな
がらリズムをつくるようにしました。
防災放送が鳴り響く津波騒ぎの防波堤の上で、この『Slow Dance』の歩き
方を2時間も研究してしまいました。いや〜〜ぁ、実に面白い時間でした。
篠崎正喜さんの絵本の中に入り込んだような気分で海と空の境目を楽しく
歩くことができました。
急いで歩くと言うのも、ある意味では良いのかも知れませんが、たまには
『Slow Dance』もおすすめです。●病気の人も●小股で●遅足で●5分でい
いですから。
ただし、あまり人がいない所でやって下さい。お馬さんを見に行く時に、
住宅街でこれをやったら二階で洗濯物を干していたおばさんに変な目で見
られてしまいましたので(笑)。
人生、時々リズムを変えるってのも、なかなかいいものですよ!
『Slow Dance』全ての人がのんびり過ごせる日が来ますように。
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