今年の春頃から私の生き方が少しづつ変わって来たように思っています。
いままでは周りのことばかりに意識を向けて、自分のことはいつも後回しに
してきたのですが、この年になってやっと自分のことを大切に扱わなければ
ならない「貴重な存在だ」と言う考えが芽生えて来たのです。
さて、今までの生き方からこの先どの辺りの生き方を変えて行けばいいんだ
ろうと、いろんなことを考えてみたのですが、まずは衰え始めた体力を再生
していくことからのんびりと始めて行くことにしました。
まずそれには、今までのような忙しい時間の使い方をザックリと引き出しや
段ボールに詰め込んで部屋の片隅に積んでいくのではなく、出来るだけ生活
自体のシンプルな要素だけを残していく作業から始めて行こうと考えました。
そんなことから変えて行こうとしたので、春から7月まで頭の中の大掃除に
時間がかかってしまいました。この間、携帯の電源をほとんど切った状態で
いましたので、いろんな人にご迷惑をおかけしましたが、その迷惑のお陰で、尚更私の生活環境がシンプルになって行ったことを認識できたので、いずれ
私は携帯を持たない人になる可能性まで見えて来て、たいへん嬉しく思って
います。
面白いですね!「今」の自分に必要なモノしか残さない生き方って。過去に
背負い込んだ荷物も要らないし、将来を見越した用意も必要ないのですから。
さてまず整理整頓した中から、十二分な時間が生まれて来ました。そして頭
の中から余分なモノがたくさん出て行きました。もともとそんなに頭の中に
雑な知識などは溜め込んでいなかったのですが、いざ、よいしょと掘り起こ
してみると、要らないものが出てくるわ出て来るわ、それらはぜ〜んぶ分別
回収のゴミステーションに放り込んでしまいました(笑)。
それと新しい道具を集めてみました。あれはカッコいいなぁと日頃から思っ
ていた黒塗りの木刀を手に入れましたが、箱根まで行って手に入れた重そう
な木刀を近くの公園まで持って行く時に、近所の住民からひょっとしてあの
人はヤクザじゃないのと言う目線で見られてから木刀の搬出を断念するよう
になりました。
その次に手に入れたのが竹の集積材でできた素振り用のバットでした。しか
しこの竹の集積材でわざと重く作られたバットをイチロー風に素振りしてい
くのには、下半身の筋肉がまったくなくなったことによって、なかなかスマ
ートな素振りができずに、一回振れば両方の足元がどちらも違う方向に動い
てしまい、まるで安定感がないと言うことが判明。ここでまたまた断念。
さて第3の手ですが、こんどは下半身を鍛えることを重点に置いて、歩くこ
とから始めたのですが、いままで日本中を車で飛ばして来た男です。この辺
りのあまり変化のない風景を楽しみながら歩くということが、あまりにもロ
ーカルすぎて、始めての街や山の中を歩くのだったら興味も湧いたでしょう
がこれも頓挫。成果としてはおいしいたいやき屋さんを見つけたぐらいのも
のでした。
で、ここで出て来たのが自転車だったのです。と言ってもツーリングタイプ
のタイヤの細いスピードが出るヤツではありません。どこにでもある前と後
ろに茶色いプラスチックの大きなカゴがついているママチャリです。
と言うことで、このママチャリを乗り出してすでに3ヶ月がたとうとしてい
ます。毎週3回、一回のツーリングは途中休憩も含めて3時間から4時間。
それもわざと30℃を越えるお昼頃から夕方にかけてですから、相当の汗が出
るのです。そうです、その汗を出したいから炎天下の道をえっちらこっちら
とどこまでも急がずのんびりとペダルを踏んで行くのです。
このママチャリツーリングは距離と早さを誇りません。
せっかくの蒸し暑さなので、この機会にたくさん汗を出しておきたいと言う
実にシンプルな思いつきからのんびりと始めたのです。
そうよね、どこかにバランス感覚が悪いおじいちゃんが時々歩道をジグザグ
によろめきながら自転車に乗ってるのをみたことあるでしょ?あのタイプです。早く進みたいとも思わないし、距離を稼ぎたいとも思っていません。
さてこの前、面白い場所をみつけました。ママチャリで。
その辺りは一面が田んぼで、飛行場が出来そうな広さだったのですが、車が
少ないので、たまにはこんな道も通って行こうと思ってペダルを踏んでいたら、田んぼの真ん中にトタンの小屋があったのです。
車で通れば見逃してしまうでしょうが、自転車だったのでそのトタンハウス
の横の側溝を見ることができて、びっくり!
その小屋はこのダダッピロイ田んぼ全体に水を送るポンプ小屋だったのです。それもちょうどタイミング良く、ポンプが地下水を最大限に引き上げている
最中の現場に立ち会えたのです。水はまるで湧き水かのように澄んでいました。そうだなぁ、一分間に家庭用のバスタブに5杯分ぐらいの水が路肩の四角い会所に出てたでしょうか。
私は、にやっとしたあと一瞬の内に手順を考えました。まずは深さだ。よし
よし1mはありそうだ。底は玉砂利のようにきれいだ。風呂桶の大きさは?
よしよしのんびり入れるサイズだ。そうだタオルを持ってたっけ。
周りを見てみると800mぐらい先から一台の車がやってくるようで、あれ
は素通りさせよう。あの前には入れない。え〜と上着の服は濡らさないよう
に脱いでおこう。短パンとTシャツと靴は汗だくだからそのまま入ってしま
おう。・・・・・・これらをわずか数秒で決定。
車が通り過ぎてから、私はコンクリートで出来た地下水の露天風呂に入った
のです。いやぁ〜気持ちいい。体がそうとう火照っていたもんな・・・と、
思っていたら行き過ぎた車がバックして来たのです。何か考えられないこと
がバックミラーに映ったのか、運転手は100mの距離をバックして騒ぎな
がら私を助けに来てくれたのです。
ところが私はタオルを頭の上に置いて、温泉気分を出していたので運転手は
とっさに大きな口から唾を飛ばしながら、笑い出してしまったのです。
この露天風呂に入っている間、5台の車が私のまわりに駐車するようになっ
てしまいました。結局、その日は炎天下だったので、着替えを持っている人
が2人、2番風呂、3番風呂に入ることになって不思議な光景を見ながら、
日頃からみんな楽しんでいないんだろうなと、2番手、3番手の頭を洗って
やりました。
みなさんも、田んぼの中にトタン屋根を見つけたら是非飛び込んで下さい。
ただし年がら年中ポンプは動いていませんので、新鮮な水が出ていることを
確認してから、あとはご自分の人生観の中でご判断下さればと考えています。
この夏は子どもの頃のような気分に帰って、たくさん遊ぶことをおすすめし
ます。楽しもうね。で、もっと笑って生きようね!
実は楽しいんだよ・・・生きるってのは・・・。
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