私の場合一年に一回のペースで映画館の途中退席があるのですが今年はな
いだろうと思っていたら、この11月の連休にまたやってしまいました。
2008年の報告がまだだったのでこれも合わせての報告です。
去年の途中退席賞の映画部門大賞は『クライマーズ・ハイ』でした。
この映画は、御巣鷹山の墜落事故をとり上げた映画だと思ったのですが、
ドッコイ。その取材に追われた新聞社(実名は上毛新聞)を中心に描かれ
たモノだったのです。残念に思ったのは原作の著者でもある作家の横山氏
の目線の低さでした。横山氏はその墜落事故の時、上毛新聞の最前線で活
躍されたジャーナリストだと知らされていたのですが、その彼が520人
が死んだ現場の話しではなく、社内のことを中心に書いたのがこの原作だ
ったので、これはショックです。ですから途中退席でした。
去年、その映画を見た後で書いた【バウの道中記】をお読み下さい。
http://www.peace2001.org/2006/main/bow/20080716_bow_01.html
さて、2009年の途中退席賞を受賞されたのは『2012』さまです。
この映画は、私の友人たちに薦めていました。ただ、薦め方が少し内緒の
薦め方をしていました。
マヤンカレンダーのことがあるので、今から2年間は特にネガティブな人
がいろんな危機的情報に揺り動かされることだろう。だから見て欲しい。
その対策も2年もあれば何か出来るだろう。と言う呼びかけの「見てくれ」だったのです。
そんな呼びかけをした私が途中退席なんですから、誰かから文句が出るか
も知れませんが、ハワイで燃料を補給する辺りで途中退席させていただき
ました。
帰って来て、世間の評価はどうかとネットで調べたら、ありました。
さすがナショジオ。私と同じような見方をしているようです。
(この記事は、いずれ消される時期がくるかも知れないので転載します)
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=71449606&expand
【恐怖心をあおる2012年週末説ブーム】
Brian Handwerk
for National Geographic News
November 11, 2009
「もうすぐ世界は終焉を迎える」。古代マヤ文明の“予言”に便乗した20
12年終末説ビジネスが大盛況だ。サバイバルキットやドキュメンタリー
映像はもちろんのこと、2012年の“真実”を語るという本も200冊近
く出版されている。インターネットでも2012年終末説に関連するWeb
サイトや商品がいくらでも見つかる。アルマゲドンの到来はいまのところ
「2012年12月21日」の予定ということなので、それまではこの状
況が続くのだろう。
今月公開される大災害パニック映画『2012』(日本での公開は11月
21日)も、バイラルマーケティングといわれるネット上の口コミを活用
した宣伝活動を積極的に展開している。このような誇大宣伝にあおられて、
“世界の終末”を真剣にとらえるあまり不安に悩む人が現れ始めており、専
門家は懸念を表明している。
例えば、NASAのWebサイト「Ask an Astrobiologist(宇宙生物学者に質
問しよう)」では、2012年終末説に関する質問が何千通も届いている
という。「憂慮すべき相談も含まれている。本当に恐怖を感じている人が
たくさんいるのだ」と、NASA宇宙生物学研究所(NAI)の上級研究員デ
イビッド・モリソン氏は話す。
「“世界が終わる瞬間を経験したくないので自殺を考えている”という十代
の若者のケースが2例あった。ここ2週間で2人の女性が、“混乱と苦痛
を耐え抜く自信がないから、子どもを殺して自分も死のうと思う”と訴え
てきている」。
モリソン氏によると、恐怖心をあおっているのは今回の件でひともうけ
をもくろむ人たちであり、映画『2012』を配給するソニー・ピクチ
ャーズ・エンタテインメントのWebサイトの作りにも問題があったとい
う。映画紹介サイト内のリンクをクリックすると、科学団体のコメント
や各種機関のプレスリリースなどが掲載されたサイトが現れ、一見する
と来るべき災厄の“真実”を語るものとして掲載されていた。
「今でこそ映画『2012』のWebサイトの一部であることを示すただ
し書きが付いているが、当初はそのような表記がなく、2012年終末
説に多少なりとも真実の部分があるような印象が伝わってしまった」と
モリソン氏は話す。
ソニー・ピクチャーズの広報担当スティーブ・エルザー氏は次のように
反論している。「Webサイトが広告用の素材であり、映画のプロモーシ
ョンの一環であることは明らかだ。予告編やリンク先のWebサイトを見
る映画ファンは、『2012』が娯楽作品であることを理解している。
『トランスフォーマー』の宣伝サイトを見ても、実際にはロボットエイ
リアンなど地球に来ていないということはわかるし、『ニュームーン/
トワイライト・サーガ』にしたってバンパイアが私たちの中に紛れ込ん
でいるとは思わない」。
アメリカにあるウィスコンシン大学の歴史学者ポール・ボイヤー氏は、
「一般的に言って、2012年終末説に対する恐怖心は何世紀にもわた
って繰り返されてきたものと変わらない」と話す。
例えば19世紀前半、バプテスト教会の宣教師ウィリアム・ミラーは1
843年にイエス・キリストが再臨すると予言し、10万人ものアメリ
カ人がそれを信じた。しかし、そのようなことは起こらず、ミラー説の
信奉者は大いに落胆した。
1970年代にはハル・リンゼイが『今は亡き大いなる地球(The Late,
Great Planet Earth)』を著し、アメリカでベストセラーとなった。この
本には1980年代に世界の終わりが来ると予言されていたが、私たち
もリンゼイ氏もいまだに生きている。同氏はそれ以来、自説の改訂を続
けているようだ。
「Xデーを10年後あたりに設定するのがこういった予言のパターンだ。
すぐにもその日が来そうな切迫した印象を与える」とボイヤー氏は話す。
そして、“陰謀説”がこういった予言の勢いに油を注ぐ。政府は災厄を事前
に知っているが国民には何も知らせないといった話が多い。現在ではイン
ターネットのおかげで陰謀説は急速に勢いを増し、かつてないほどの広が
りを見せることがある。
ボイヤー氏は次のように話す。「ほとんどの人はこの手の話をある種の“知的ゲーム”として楽しんでいるが、中には深刻にとらえる人もいる。予言に夢中になる人の示す特徴として、歴史認識がまったく欠如している点が共通しているようだ」。歴史を少しでも眺めてみれば、“世界の終わり”を伝える予言がいつの時代にも登場し、常に間違っていたことはすぐにわかる。「にもかかわらず、いつの時代にも終末説がカネを生む市場
が存在している」。
アメリカのニューヨーク州ハミルトンにあるコルゲート大学の天文考古
学者で古代マヤ文明を専門とするアンソニー・アベニ氏も、このヒステ
リー状況を実感しているという。「電子メールで話した高校生は、世界
が終わりに向かっていると真剣に考えており、誰もが死ぬことになると
信じていた。この件がきっかけとなり、正確な情報を伝える本を書こう
と思い立った」。
アベニ氏の『The End of Time: The Maya Mystery of 2012(歴史の終焉
:2012年マヤ予言の謎)』をはじめとして、専門家たちはそれぞれの著
作の中で、古代マヤ予言に大災害が示されていたという神話のウソを暴
き、古代文化の事実に焦点を当てるよう試みている。「ある意味で、い
まは良い機会だとも考えられる。人々が2012年終末説に脅えたまま
では、古代マヤの驚くべき文化を学ぶ大きなチャンスを逃してしまう。
古代マヤに注目が集まっているいまこそ、正確な事実を伝えるのが専門
家の務めだ」
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