エーッ・・・・・。
本日はまた、かくも多くの皆様にお集りいただき、スタッフ一同、
心よりのお礼を申します。私、本日のMCを務めさせて頂く長尾で
ございます。
このたびは、ここ「PHP文庫誌上・公会堂」の中庭芝生におきま
して、皆様におくつろぎいただきながら、老子・荘子両先生のレ
クチャーを、お聞きいただきます。
題しまして『老子・荘子両先生、二千数百年の時空を超えて語る
二十一世紀日本によみがえる「老荘思想」の世界』です。
ええ・・・・・と。
それで、始めるに当たりまして、ですね。
皆様、芝生に直接腰掛けられますとスボンが汚れますので、係の
者が段ボールの板をお渡ししたはずですが、どうぞそれを敷いて
お腰掛けください・・・・て、申すまでもなく皆様そうなさって
おいでですね。
それで、この段ボール板なんですが、まだかなり余裕があります
から・・・上衣や荷物を置くためにもう一枚欲しいという方は、
どうぞおっしゃってください。
・・・・・えー、結構おられますね。どうぞ、お遠慮なくスタッ
フからお受け取りください。
マァ、実のところを申し上げますと、本日の催しも、当初はもち
ろん屋内のホールで行う予定だったンです。ところが、です。
いざお招きしましたら、両先生がお口を揃えて「こんな息苦しい
建物の中で長い時間しゃべるのは難儀だ」と、おっしゃいまして、
結局は、両先生のご希望で、始める土壇場になってこのような場
所での開催となった次第です。
マァ、季節も初夏で、今日は陽気もいいことですし、皆様どうか
この点、ご了承ください。両先生からも言いつけられておりまし
て、皆様くれぐれも、お楽な格好でお聞きください。足も崩して
お座り下さい。
あと、もちろん、ですね。休憩時間中は、屋内でお休みいただけ
ますかので。
さて、・・・・・。と、言ったところで、本題に入ります。
本日のプログラムといたしましては、まず、そこの大木の木陰に、
老子先生にお座りいただいて、先生のご著書『老子』の内容につ
いて、お話をいただきます。
その次に、ご交代いただく形で荘子先生にご登場いただいて、先
生のご著書の『荘子』についてのお話をいただきます。
そして、最後に両先生に揃って出ていただいて、私からのインタ
ビューという形で、若干のお話の追加をいただきます。
申すまでもなく、『老子』『荘子』は古代中国哲学の超一流テキ
ストであり、人類最高の古典の一つです。私たち日本人も、遠い
祖先の昔から読み継いで来たものです。
そこの説かれた思想は、一般に「老荘思想」と呼び習わされて、
長い歴史の中世界中の多くの人々に、”人生の一つの深い意義を知
る縁(よすが)”として学ばれてきました。
本日はこの二大名著の著者である両先生から、直接にレクチャー
いただけるわけです。ですが、時間の関係で、やはり内容の全部
について語っていただくわけにはまいりません。そこで、それぞ
れの著書の一部を両先生御自らにチョイスしていただき、お話し
していただくことになっております。
では、いよいよ老子先生のご登場です。
・・・・・。
えっ、まだ?
・・・・・エー、皆様、今しばらくお待ち下さい。
ただいま、老子先生はスタッフの案内で、控え室よりこちらへ向
かってお進みだそうです。
・・・・・。
アッ。なお、ですね。この時間を利用して先に宣伝させていただ
きますと、本日の催しの内容は、後日PHP文庫として発刊の運び
となります。タイトルは、『老子と荘子が話す 世界一わかりや
すい「老荘思想」』となる予定でございます。そうぞ、そちらも
よろしくお願い申しあげます。
・・・・・。
アッ、そうなの。もう、玄関まで出ていらっしゃった?ウン良か
った。良かった。
・・・・・。
・・・・・。さて、皆様、どうもお待たせしました。あちら玄関
の方をご覧ください。老子先生、いよいよご登場です。では皆様、
盛大な拍手をもってお迎えいたしましょう。
【老子】
「道」について(第一章より)
(一同拍手。老子ゆっくりと木陰に座ると、おもむろに一同を見渡す)
えー・・・・・。まず、じゃな。
「道・タオ」の説明をせねば、ならぬの。
・・・・・。
皆がわしの話しを聞きたいのは、幸せになりたいからじゃろう。
幸せとはな、苦しみのないことじゃ。
だからな、ホレ、そこに花が咲いとるの。風に吹かれて、ソヨソ
ヨしとる。あの花な、何の苦しみも持っておらん。だから、あれ
は幸せなんじゃよ。
つまり、皆も、あんなふうになればよい。
ところが、人は、なかなか花のようにはなれん。何故かと言うと
な、この世のありとあらゆる生き物の中で、人だけが「考える力」
をもってしまっておるからじゃ。
考える力。コイツを持ってしまったからには、使いたくなる。
で、使ってみると実際に、色々と考えをめぐらすことができる。
花は考えられぬ。人は考えられる。ここで、人は、とてつもない
勘違いをしでかしてしまう。
この「考える力」を使えば、「花の幸せとは違う、もっと大きな
人だけにしか味わえないスペシャルな幸せ」を、得られるのでは
ないか・・・とな。
そこで人は、街をつくり、国をつくり、便利な道具をつくった。
人の世のルールを作って、日々の暮らしを色々な決めごとで縛り
付けて来た。我が身を贅沢な服装で着飾り贅沢な物を食ってきた。
・・・と、どれもが、「花には出来ぬこと」じゃ。人だけが「考
える力」を駆使して出来ることじゃ。人はそうやって「人だけの
幸せ」を生み出そうとしてきた。生み出せると信じてきた。
大間違いじゃ。
この世に「あの花のような幸せ」以外の幸せなど、ありはせぬ。
便利な道具を使う暮らしも、ルールを守る生き方も、衣食の贅沢
を楽しむのも、そんなものミーンナ、本当の幸せではない。所詮
は偽物じゃ。偽物じゃからいつかはダメになる。必ず不幸せに陥
っていく。むしろ、人を苦しみに追い込んで行く。
人はそうやって、マボロシに過ぎぬ「人だけの幸せ」を求めてあ
がき苦しんできた。今も苦しんでおる。
そんな生き方を続けて、最後にはどうなるかと言うと、な。結局
は疲れ果てて、取り返しのつかない頃になってから、「あがきの
人生」の虚しさに気づいて、後悔するのじゃ。
人とは、だからあの花よりもずっと愚かな生き物なのじゃよ。
人が本当に幸せを願うのなら、どうしたって「花と同じ幸せ」を
求めるしかないのじゃよ。それが真実じゃ。人の「考える力」を
本当に役立たせたいのなら「その真実を悟ること」ぐらいにしか
使えぬ。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
今日、おもしろい本を見つけました。上の文章はその本の冒頭の
『前口上』です。ねっ!おもしろいでしょ!
この先、インタビューまで用意してあるのですから、おもしろい。
『老子と荘子が話す 世界一わかりやすい「老荘思想」』
PHP文庫。長尾 剛著 新刊ホヤホヤです。
http://www.bk1.jp/product/03001052
この数ヶ月、老子関係の本を5册読んだのですが、その中でも、
この本は、トップクラスの読みやすさです。このあたりから老子
のタオに触れられたら分かりやすいと思ったので、お勧めします。
本屋さんでもう一冊、本を買いました。「老子」と対局にあると
される、「孔子」の「儒教」の本です。孔子の思想は、集団、組
織、国家などを治める側にとって、たいへん便利で良い思想だと
いうことで、東アジアの国々の教育材料の根幹として使われてき
た経緯があるのですが、私にとって、すでに要らない物です(笑)
が、一度、目を通しておこうと思い買いました。
『孔子物語』丁 寅生著 徳間文庫
http://www.tokuma.jp/bunko/tokuma-bunko/5b545b5072698a9e
さて、インターネットラジオ【@tention】で「ソマチッドとは」
を収録しました。簡潔に分かりやすくコメントしましたので、聞
いて下さい。私たちが望む未来像を分かりやすく解説しています。
http://www.tokuma.jp/bunko/tokuma-bunko/5b545b5072698a9e
また「ソマチッド基金」の収支報告もアップしました。ご協力く
ださった皆様に、ここで改めてお礼申し上げます。ありがとうご
ざいました。おかげさまで、関係者に渡航していただきました。
http://www.peace2001.org/2006/main/rashin/somatide_fund.html
カナダ・ケベックの渡航は19日に出発して26日に帰国します。
その後、何らかの形で、ガストン・ネサーン氏との対話内容などを
報告したいと考えていますので、楽しみにしてお待ち下さい。
『もっとも 素朴な自然な心に 帰れ』
老子を学んで、つかんだ言葉です。 |