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バウの道中記 2005年12月27日 鳴門 |
【chanとまこっちゃんやど〜】
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阪急のバスターミナルは、年末の移動が始まったらしくごった返しの状態であった。
昼の徳島行きをねらっていたのだが、残念。満席のため、二便遅れのそれも空席待ちということになってしまった。
どうせ時間待ちなら、前から見たいと思っていた映画でも見ようと思い、『あらしのよるに』をやっている映画館を探してみることにした。
このアニメのストーリーは、嵐の夜、雨宿りの真っ暗闇の洞窟で出会ったヤギとオオカミが、暗闇なのでお互いの姿が見えないまま、奇妙な友情関係をむすびはじめ、その後、気がつけば食べる側、食べられる側のヤギとオオカミであることに気づいたのであるが、お互いの立場の違いを乗り越えて友情に芽生えていくというもので、最後は互いの仲間たちの猛反対に合った二人は、今まで慣れ親しんで来た群れから離れて行くという、切なさと笑いを織りまぜたアニメらしいのだ。
私のようなへんちくりんな男が一人で見に行くのはおかしいかも知れない、と思いながらも、私はいつのまにか子ども心になって、梅田の街を探し始めていた。
映画館は意外なほど近くにあったが、なにせ今の私の視力と歩行力である。直線で歩けば5分とかからない所にあったのだが、あっちを探し、こっちを探しで30分を費やして歩いていた。
残念!上映時間が中途半端で徳島行きのバスに間に合わない。私はチケット売り場まで来て観るのを断念した。
たぶんこのアニメは私の心を清らかな水のように洗ってくれるだろうと感じてここに来たのだが、この楽しみはまたの機会にまわして、今日はおとなしく四国の徳島に入って行くことにした方がよさそうだ。
バス乗り場に着いたら予定していた一本前の徳島行きに空席が出たらしく、うまい具合に、ごほうびのように一番前の二人席に一人でゆったり乗り込むことができた。
うしろの席には、たぶん一月前から計画してきたのであろう、たくさんの準備と綿密な計画の量に比例する重量の荷物を持ち込んだ、ぎゅうぎゅう詰めの人たちばかりと言う状態なのに、私だけが優雅な気持ちで・・・・・有り難いことである。
淡路島を通り過ぎ、鳴門海峡の渦潮を下に見ているうちに着いた高速鳴門のバス停は、港街を見下ろす一段高い丘の上にあった。
このバス停から下の街に無料でセルフの小さなモノレールのケーブルカーが通っていて、ボタン一つで下までのんびり下ってくれる。まるで遊園地の乗り物にひとりで乗り込み、自由に自分の意志でスタートボタンを押すような雰囲気になれて、この乗り物はなかなか面白い。
下って行くケーブルカーから見える街並みの景色の中に、見覚えのある大きな看板を見つけ、やっとこの辺りが鳴門の街のどの辺りなのか、私は理解し始めていた。
この前、あの大きな看板辺りのおいしいさぬきうどん屋に連れて行ってもらったことがあるからだ。あそこの、なま玉子ぶっかけうどんは最高だったな!と思い出して、「あのぶっかけ、また食べたい!!」と心の中で大きく叫んだ瞬間だった、唐突にも私の目の前にチャンさんの
顔が笑って現れたのだ。このタイミングは絶妙であった。
軽トラの運転席には愛犬の太陽が私を待っていた。
チャンさんの全てを受け入れるいつもの明るい笑顔と、太陽の可愛い目とぬれた鼻・・・私はすっかりぶっかけなど忘れてしまい、嬉しい出迎えにこたえていた。
チャンさんとパートナーのここちゃんは二人とも歯医者さんで、一時はまともに歯医者さんとして働いて来たのだが、少しずつ、社会構造ごと、自分自身の生活環境にも疑問視する目線が生まれ、歯医者の仕事を二人でやめて海外から国内へと旅を重ねたようである。
私流に言うと『自分病』と言う自分たちばかりの事しか考えつかない周辺の人たちの病いから逃げたくて、自分たちが生活しやすい集落をさがす旅をかさねて来たのであろう。
そして今は、神山という徳島の奥地の新天地でミュージシャンの恵樹の家族といっしょに暮らしながら、神山の地名を世界に響かせた、『神山アーティスト・イン・レジデンス』の中心スタッフとして、一人でも多くの人のこころを響かせてやろうと、仲間たちと一緒に楽しみながら暮らしはじめているのである。
それにしてもチャンさんのピザはうまい!庭先につくった2期目の石釜で焼くものだが、この自分で工夫してデザインした手作りの石釜で焼かれたパンとピザがまともにうまい!
春からはやっと手に入れた定着用の新しい土地に3期目の石釜を作る予定である。出来ればその時に作り方を教えてもらい、私も自分の石釜を持ちたいと考えている。
チャンさんと太陽と私を乗せた軽トラは軽快に海沿いの道を走り出した。向かったのは関西方面から四国に入るお遍路さんやミュージシャンや私たち仲間から、四国の最初の泊まり先、玄関口はここだと評されている、まこっちゃんのナマステ・ゲストハウスである。
まこっちゃんの人柄は、それこそどんな人からも好かれている。それも大きな体から醸し出される存在感を持ちながら、いつも誰よりも、細やかなこころ使いができている。
やはり四国の玄関守りは、この人でしか出来ないであろう。彼は大きな体を台所いっぱいに動かしながら、今日も私の大好物の磯辺焼きをつくってくれた。大満足。
私たち3人は、カーテンをしめたうす暗い部屋で、私が持ち込んだパソコンの画面を覗き込み、なにやら不思議な雰囲気の秘密の会合をやりだした・・・・・
これで山ん中の神山町と青い渦潮の鳴門市の担当者の誕生である。私にとって、これはまるで山の神と海の神がこの場で出会ったような感動的な会合となった。
このあと二人は、高松行きのバス停に私を連れて行ってくれた。その途中の車中で、まこっちゃんがため息まじりで言った言葉が素晴らしかった。
「こんなとこからアセンションが始まるんだ・・・・・」
「こんな身近なエネルギーから・・・・・」
「こりゃぁ お・も・し・ろ・い・・・・・」 |
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