そうか〜!もう9月なんだよ。去年の9月から群馬の大泉あたりを歩き
出してからもう1年になるんだから、この一年はアッと言う間の一年だ
った。たくさんの人と話しをしたし、いろんなお店にも入ったし、この
一年は群馬で頭を使いっぱなしの一年だった。
群馬を歩いてみて、これは不思議!と思ったのが企業と市民生活の関係
だった。地元の日本人に聞いても、日系ブラジル人に聞いても、みんな
同じ答え。「不景気だからしょうがない」とサンヨーや富士重工の大き
な工場の方を見ながら言うのである。
「不景気だからしょうがない」って、言い訳する時には便利な言葉だけ
ど、本当は違うんじゃないかと私は思っている。
動こうとしない人が、動き方が分からないとか、動く気がしないと言う
のとよく似ていて、結局は動こうとしないから何も始まらないのだ。
大泉近辺には二つの大きな工場を支えて来た中小の工場もたくさん目に
入る。それらも夏が終わった森の、ミンミン蝉が泣き終わった時のよう
に、シーンと静まりかえっている。
今までお祭りのように大量生産に騒いで来た工場って、一体何だったの
だろう?工場って何の目的で稼働させているんだろう?この問いかけを
自分の頭にぶらつかせながら、この一年間、寒い中、暑い中を歩く毎日
だった。
で、で、で、少しだけ上の3行の答えが見えて来たのです。それも遥か
遠いインドからの『答え』です。
nanoって車が20万円台でインドで発売された話しを聞いた人は多いと
おもうのですが、この車を作ったのがタタというインド有数の財閥系の
会社で、このタタと言う会社の約66%の株主が、インドでいろんな地
域で活躍しているNPOやNGOや市民団体なのです。
ひっくり返して話しをすると、だから世界一安い車をみんなのために開
発する使命もあって、またそこで生まれた収益が市民団体などに配当さ
れて、その資金がインド全体の社会貢献へとつながっているのです。
さて、日本の企業はどうだろう?過半数の株式を、NPOやNGOや市民
活動団体などが持ち寄っている会社はあるのだろうか?それも一部上場
の企業の中では、考えられないことだろう。
どこの会社だっただろうか、今年770万円の高級車を発売したのは?
それって、この先私たちが暮らして行こうとしている世界観から、あま
りにもずれ過ぎていると感じているのは私だけだろうか。
インドでは、日本のスズキや世界各国の自動車メーカーが、タタに近づ
こうとして、販売代金を下げ始めている。しかし、それらの目的は単純
に書くと売り上げを上げて、会社の収益を上げるだけの目的なのだ。
それに引き換え、タタは私たちが学ぶべき、新しいスタイルのビジネス
を見せてくれているのです。そう。資本力から生まれた配当を市民側で
運用させれば、どれだけ地域が潤うかと見せてくれているのです。
もし、大泉にある大手企業がタタのような会社だったら、日本中の人か
ら、いつも応援されて、こんな不景気の中でもリストラ騒ぎにもならな
かったに違いない。
今年からタタのnanoは、ヨーロッパの規格にも通って、販売開始になり
ました。早く日本にやって来ないかなぁ。ぼく一番に予約したいな〜!
さて、私たちのまわりの企業は旧態依然のままの資本主義で、いつまで
競争世界をつくって行くんだろうか?それは、ひょっとして私やあなた
の責任だと、自分自身の中で考え始めた方がいいのかも知れません。
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