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【バウの道中記】2006年8月30日 松江
【Beyond】
「バウさん! 久しぶりです、お元気ですか?体の方は大丈夫?」
「岡野くん、久しぶりだね!元気だよ!」
天空オーケストラ主宰の岡野くんから久しぶりの電話をもらった。
「もう何年前になるかなぁ、原爆の残り火をイギリスに持って行っ
た時のビデオが偶然出て来て、それを今度つくる天空の10周年
の記念アルバムといっしょに、DVDにして出したいんだけど、
どうですか?バウさん、どう思われます?」
天空オーケストラが10周年を迎えたらしい。岡野くんと私はこの10年間、たくさんの時間をつかって、たくさんの場所に出向き、たくさんの人たちに出会って、たくさんの話をやってきた。
そんな思い出の中で、毎年世界中から数十万人が押し寄せる、ヨーロッパ最大の野外音楽祭のメインステージに『原爆の残り火』を持ち込んだ時の、貴重な映像記録が出てきたらしいのだ。
グラストンベリーフェステバル公式サイト:
http://www.glastonburyfestivals.co.uk/
この時の私たちは大変苦労した。日本からイギリスのグラストンベリーに向けて正式な『原爆の残り火』を出すにあたって、その火を保存してきた福岡県の星野村から火をゆずり受けたあたりまではよかったのだが、聖火保存ランプとカイロでこの火を運ぶはずの旅客機の航空券が、なかなか手に入らないのである。
これはむずかしい国際航空法があるらしく、まずはその旅客機が上空を飛ぶ国ごとに許可申請を出して、全ての政府から正式な許可証をもらわなければ、機内に火を運び込めないと言う規定があるらしいということが分かり、その他にもブクブクと色んな問題があふれだして、私たちを混乱させた。
しかし、イギリスのグラストンベリーの主催者から・・・・・
「広島の原爆の残り火が日本にまだ残っていることを初めて知った」
「その火が今年、日本中のさまざまな「祭り」で使われるらしい、
という話を聞いて、私たちもその火をうまく使えば、またとない
平和のチャンスを手にすることができるだろう」と言う熱いコメ
ントが日本に届いて、その頃一旦あきらめようとしていた私たちに
勇気を与えてくれたのを思い出す。
そして、航空券を手に入れた。この時は神戸の事務所に集まった人全員で、涙を流しながら抱き合った。
今から思えば時間のない中で、根気よく各国政府を説得したものだと思っている。
「いいんじゃないの!岡野くん!その映像は貴重だから・・・
いい音と一緒に出してくれたら嬉しいな!」
岡野くんからの久しぶりの電話をもらって、一瞬の走馬灯のようにその頃の苦労が脳裏に走り去る。そんな思い出の結実と言える映像が入ったCDとDVDが出されるのだから、応援したい。
http://www.tenkoo.com/
アルバムのタイトルが『Beyond the Trail』に決まったことを嬉しく思っている。『Beyond』と言う言葉は、私が時おり気が遠くなるようなことに立ち向かって行く時に、心の中で何度も何回も繰り返しながら、それこそ天空に向けて唱える言葉で、そのキーワードを今回のアルバムのタイトルに選んでくれた岡野くんたちの思いも、やはりそんなところから来ているに違いない。
このアルバムに収録された曲の中で、私が特に気にかけて来た曲が、8曲目に収録されている『Walk in beauty』 という曲で、たしか日本橋から広島まで原爆の残り火を歩きながら運んだ時に、歩きながら生まれた曲で、その時、岡野くんたちが興奮しながら「いい曲できた!」と言っていた時を思い出しながら、いつも聞いて来た。このウォークの時の映像なども今回のDVDに収録されているのだろ
う。
『音』というものは、不思議さがある。
宇宙の真空の中では『音』の響きが伝わらない。もちろん聞えない。
言い換えると『音』は『言葉』と同じように、私たち地球に住む仲間たちだけにゆだねられた、感性を創り上げるための『大切な資源』なのかも知れない。
88のキーを持つピアノを想像して欲しい。
地球が一周する間に、この地表に住む人類はどれだけ多くの『音』を作曲しているのだろう。
子どもたちからプロのアーチストまで一日1000曲、いや世界中の人がそれぞれの暮らしの中で作曲するのだから、もっとたくさんかも知れない。そんな曲が古代から現代まで毎日このように創られてきた数は天文学的なものになるだろう。
ところが、わずか88のキーのピアノにこの全ての曲を奏でさせても、まだ満杯ではないのである。分かるだろうか?どれをとっても
最初から最後まで同じメロディーで同じリズムの曲はないのだ。
どこかの国の作曲家から「もうピアノは満杯で、これ以上人類は新しい『曲』を創れない」というメールも届かないし、そのこと統制しようとする国家もあらわれない。
それほど『音』は不思議なくらい無尽蔵な広大さを持ち合わせている。
さぁ、天空オーケストラの『無尽蔵な響き』を一緒に堪能しよう!
彼らが奏でる奥の深い『天空の音』に耳を傾けて欲しい。