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バウの道中記 2006年1月12日 鎌倉 |
【とある社内報2】
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前回の【バウの道中記】2006年1月10日号から2回に分けて、昨年11月、とある大手企業の社内報で流されたものを、掲載しています。前号を読み終えてから、今回のインタビュー記事をお読み下さい。
また、企業側のトップの方のお名前は、あえて●●さんとさせて頂きました。
では、・・・のんびり・・・ゆったりと・・・・・・
●● ナンシー・ウッドという詩人は詩の中で、マキバドリに生きるってどういうことと聞けば、空高く舞い上がってさえずることさと答えるだろう、蛇に生きるってどういうこと聞けば、お腹に草の冷たさを感じることさ等々、延々と語っています。
そこにはいろんな生命が飛び出して来て、決して人間だけが生きてるのではない。唯我独尊はそれぞれの存在に対して言えることかもしれませんね。
自分だけのことを考えるのは「成長発展」のレベルですが、それに対して未来の子孫たちのためにどうあるべきかをちゃんと選択してこそ「進化」があり、そしてその進化は相互関連の世界の中で起きるとラズローは言っています。
要するに、相互関係の中で初めて自分も育てられていくんですね。これは企業でも全く同じで、企業の存在理由は社会の中にある。そう考えてこそ企業も進化できるということになりますね。
バウさんは、阪神大震災が起こったことを知ってすぐ飛び出したわけですが、これも相互作用の中から一人で決断し一人で行動したわけで、それがすごくいいですね。
バウ 私はいつでも一人でできるところから始めています。だから失敗はまずないし、背中さえ見せれば必ず続いてくれる人も出てきます。で、スケールメリットは後ろのほうで作っていただく。私がやることは簡単で、いつも小さなヒナ型を造ることだけなんです。
●● 何かに依存してしまうと、つい戸惑ったり停滞したりして愚痴が飛び出してしまいますね。
バウ ●●さんも、社員の中から後に続いてくれる者が出てくれば、それこそ仕事をしないで済みますよ(笑)。
●● 阪神大震災のときバウさんはまず一人で神戸に乗り込んで、そこからものすごいボランティア活動を展開されますよね。
その大活躍の物語はいまや伝説的とも言えるほどですが、その後日本海に重油が流出したときも、素晴らしい活躍をされましたね。そのときも全くの一人から始められたんですか。
バウ そうです。1997年の1月、福井県の三国町沖にロシアのナホトカ号が漂着して、重油が流れ出して海が汚れているというニュースを聞いたものですから、このときも私はさっそく現場に駆けつけました。
神戸で培ったノウハウがそこでもきっと役立つにちがいないと思ったからです。
で、その海岸を歩きながら重油を回収する手だてをいろいろ考えていたのですが、ふと気がつくとそばに6人の海女さんが泣きながらじっと海を見ていました。
そのときは突風が吹いていて、重油がポンポンと顔に当たり、顔が真っ黒です。そこで私が近くにいた海女さんに、私もいっしょに泣きたいけど、泣いてても仕方ないから、バケツと柄杓を貸してくれないかなぁと言ったところ、近くから柄杓とバケツを借りてきてくれましたので、さっそく海に入ってねっちりと重い重油を柄杓ですくい出したんです。
その日は徹夜してでもやるつもりでした。私が重油をすくい始めると、地元のおばあちゃんたちも夕方から連れ立って海の中に入ってきてくれて、初日は私と数名の人たちで重油を柄杓ですくうという作業を黙々と続けていったんです。
そこから出発して、翌日の午前中にはそれが30人となり、午後には地元の漁協の奥さんたちも集まってくれて2百人になりました。
ところが男たちはと言うと、油だらけになって作業する女たちを笑いながら見てるんですね。作業をする者は、男は私だけで、後はおばあちゃんと奥さんたちの女性群です。
その光景をNHKが撮ってニュースで流してくれたものですから、その次の日からは作業する人の数がいっぺんに5千人にもふくれあがりました。それはただ柄杓とバケツを抱えての気が遠くなるような作業の繰り返しだったのですが、なんと3日間の作業で浜辺の一角がすっか
り目に見えてきれいになってしまったのです。
●● 感動的なお話ですね。それにしても男ってのはダメですね(笑)。
バウ 男の人たちは最初は柄杓での作業をバカにして、やれポンプ車だとかバキュームカーだと対策を講じるだけで全く動かなかったのですが、しかしその成果が現れ始めるや、柄杓での重油汲み取り作業に参加する者も出てきました。
さらにその後全国から駆けつけてくれたボランティア部隊がのべ数にして34万人にもなり、柄杓ボランティアが大活躍してくれたそのお陰で、重油で汚れた日本海の海辺がすっかりきれいに蘇ってしまったんです。
●● まさに奇蹟が起こったとしか言えないような素晴らしいパワーですね。
バウ それは人間の手作業で成し遂げたものでしたから、このことの意味はものすごく大きかったと思います。
専門家が機械を使ってやったのなら誰も感動などしませんが、地元の住民や、全国から集まったボランティアの手作業で成し遂げたものだったからです。
不可能と思えることであっても、みんながいのちの力を結集さえすれば、それは奇蹟に近いことを成し遂げうる。
いのちの力が人を動かすんです。大事なことは、おのれのいのちの力をどう発揮するか、最後までやり遂げる意志があるかどうかということに尽きますね。
●● バウさんの最初のひとすくいからすべてが始まったわけですね。そのニュースは私もテレビで観ましたが、大事なことはまず一歩を踏み出すこと。それがまさに「ゼロから1を生み出すこと」であって、1が生まれればそれは時間の中で百にも千にも万にも膨らんでいくんですね。
バウ 人間には3種類のタイプの人がいまして、それはまず、ゼロから1を生み出す人間、1を百に成長させる人間、そして百をずっと維持していく人間の3通りです。
ちなみに●●さんもゼロから一を生み出したわけで、たぶん●●●●●●●●も最初は一人から始まったのでしょう。
問題は、どうしたらゼロから1が生み出せるかということですが、それはまず「思う」こと。未来に夢やビジョンを思い描いてこそ、そこから何かが動き出していくんですね。
ただしただ思っているだけでもダメで、思ったことを行動に移さなければなりません。夢に向かって行動を維持し続けていってこそ、思ったことが実現するものなんです。
●● バウさんは、ただ柄杓で重油をすくっただけじゃなく、集まったたくさんのボランティアの人たちを組織的に動かしてもいかれたんでしょうね。
バウ プロジェクトのシステム管理や資金管理などの全部をやりました。なにしろ延べ34万人もの方々が参加してくれましたから、きちんとプロジェクト管理をしないと混乱を起こしてしまうんです。
●● つまりバウさんは人を感動させ、人を動かしていく人ですね。
バウ それにしても34万人もの人が柄杓で重油をすくって浜辺をきれいにするなど、これまでの日本の歴史にはなかったと思いますよ。
●● あの事故では重油が一千キロも海に広がったようですね。そしてそれが浜に打ち寄せられてひどい状態になってしまったわけですが、それを人海戦術できれいにしてしまったというのはものすごいことだと思います。
とにかくバウさんは素晴らしいことをいろいろやってこられたわけですが、これからのテーマとしてはどんなことをお考えですか。
バウ これまでのぼくの活動は、誤解されるかも知れませんが、あえて言うといわばひまつぶしみたいなものだったわけで、いろいろやってはきましたがいずれも対症療法的なモノばかりだったと思います。
阪神大震災や日本海の重油掃除もそうでしたし、アメリカでの反戦キャンペーンもそうでした。すべて何かが起こったから、それに対処するためにやったというものばかりで、根源的なものは結局何もできてなかったんです。
で、いまどんなふうに思っているかと言いますと、私はジョン・レノンと誕生日がいっしょの10月9日ですから、昨年の誕生日をいい機会に名前を「和尚」から「成雲」
に変えさせていただいて、生きるステージを変えようと、軸足をいっぺんに変えてしまったんです。
これまでは平和活動をずっとやってきたのですが、これからはそういった対象療法的な活動もやめて、もっと根源的な部分で、自分にふさわしい役割を探ってみようということで名前を変え、この一年を過ごしてきました。
要はこのままでは私の人生もったいないと思ったんです。
その結果、今の私の目の前に現れてきたのが「未来地球」のプロジェクトで、これからは未来のことだけを優先的にどんどん進めていきたいと思っています。
●● 「将来」は、将に来たらんとすで、「未来」は未だ来らずですが、まさに未来の決定を今することが求められていると思います。
バウ 私の言う未来というのは決して抽象的なものではなく、これから3年後に、『弁当箱』と言うものを作るということです。
まるで花咲か爺さんみたいなことをやっていきます。要するに残された人生をすべてかけて、原子力発電に変わるエネルギーの開発と研究に全てをささげていきたいということなんです。
●● なるほど、大逆転劇を企んでいらっしゃるんですね(笑)。
バウ その内容はたぶん一年後にはみなさんに公表できると思いますが、とにかくこの展開を理解して頂くために、今、全国全ての市町村ごとに一人づつの草の根のネットワークをつくって行っているんです。
●● それもまさにゼロからの出発で、すでに実際に行動を始めておられるのですから、きっと実現するだろうと思います。とにかく電力会社と縁を切ることは、何としても小気味がいい(笑)。
ここまで戦争や経済や暮らしにエネルギーの問題が深くからんでしまいますと、まさに石油や原発とは全く関係のない新しいエネルギーが何よりも待たれるところですね。
それと各家庭から草の根からというところにやはり原点がありますね。環境問題でも社会的な大きなシステムに目標を置いてしまうと大変ですが、各家庭が小さな単位で動き出すのが社会を変えるのにいちばん早いんじゃないかと思います。
バウ いまはまだ基礎研究の段階ですが、その間に札幌の事務所でシミュレーションをどんどんやっています。
そしてそのビジョンとシミュレーションを通してこの夢に日本中の各市町村のこれぞと言う人物を配して行く。
●● それをこれからの3年間、本気で集中的にやっていくわけですね。で、それが実現したとしたら拍手喝采です。
日本はもうすでに破産状態にありますから、その時点をはっきりと見据えた取り組みが不可欠と思います。いざ大変な何かが起こったらパニックになってしまいますから、そのためにもいまから未来を決定する必要があると思います。
見ない夢は実現しないと言われますが、実際にいまバウさんは大きな夢を見ているのですから、後はそれに向かって行動して、とにかく実現させていくことですね。
エネルギーの問題はまさに世の中の最も根源的な問題ですから、それをはっきりと打ち出してやっていけばすべてがすごく分かりやすいと思います。
バウ 大事なことは、誰にもすんなりと理解していただけること、誰もが気軽に参加できる方法でやっていくことだと思っています。
これは国の予算をいただいて進めていくのではなく、民間で草の根的に進めていく道を私たちは選択しました。
この道のりは、あえて遠回りしているように見えるかもしれませんが、その方が社会の価値観ごと、ひとつづつひっくり返しながら、じっくりと進化させて行けるのではと考えているからです。
その遠回りの仕事こそ、私の仕事だと思っているんです。
●● 21世紀の社会は対象療法的なものではなく、根源的なものの開発が必要ですから、これは非常に素晴らしい夢だと思います。今日はスカっと晴れた、大きくて楽しい夢をいただき、本当にありがとうございました。 |
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