インパク会場 カンボジアから帰って来て、あっという間に1ヶ月が過ぎてしまいました。この間、新聞、雑誌などにカンボジアのことを発表してきたけれど、このサイトには少し肩の力を抜いた写真ルポを書いていこうと思っています。あちこちに話は飛ぶけれど、私が見たまま聞いたままの「ナマ・カンボジア」をお届けします。お楽しみに。

 

「わからなくても真面目に」

 いよいよカンボジアで、地雷撤去の取材が始まる。
 前夜のミーティングで神戸元気村の吉村さんから教育的指導が入る。
「ヘイローのスタッフは本気で危険な地雷撤去に取り組んでいます。非常に忙しい分刻みのスケジュールのなか、時間をとってもらっています。くれぐれも失礼のないように。真面目にレクチャーを受けてほしい。また、何をしに来たのかわからないような服装はやめてください」
 げげげ、と思う。服装?
「たとえば、私が今着ている、ボーダーの水色のシャツとかダメなんですか?」
「うううむ。まあ、その程度ならいいかな」
 とは言いつつダメそう。
「地味な方がいいんです。白とか黒なら問題ないです」
 女性スタッフは皆、不安な表情になる。
「ノースリーブなんかは、絶対にやめてくださいね!」
 ヘイローって軍隊みたいなところなんだなあ、なんかもう行くのが憂鬱になってくる。もちろん白のTシャツは持ってきているが……。かつて高校時代に服装指導の教諭からいつも呼び出しをくらって「お前のセーターは派手すぎる」と怒られていたことを思い出す。
 あの頃の私は反抗的だったが、いまは「郷に入れば郷に従え」のオバさんだ。
 ただし、集団行動と規律が嫌いな点は40歳になっても変っていない。
 ムダなところで反目せずに、別の形で有効に自己主張するようになってはいるが、人間の本質なんて、そう変るものじゃない。
「説明は英語です。あちらは真剣に説明してくれます。もし、英語がわからなくても真面目に真剣に聞いてください。そして後で質問してください」
 英語が苦手な私には、これまた耳が痛い〜。
 山田さんが隣でぼそりと「ワシが一人で、笑いをとったる」と呟いた。
 あははは、山田さんも「規律」とか「しゃくし定規」とか「団体行動」が嫌いなんだよな、きっと。
 だんだん明日が不安になる。私は男社会が苦手だ。トイレも借りにくいし。

 

 


レクチャーを受けるために、
HALO TRUSTのオフィスへ

これまでのルポ
カンボジアは水の都だった
わからなくても真面目に
共産圏の地雷
地雷を踏むような気がしてしょうがない
リサイクルはさせない
マラリアになったらタイに行け
地雷原の小学校
ここがポル・ポトの墓だ

アンコール・ワットは水の都
タ・プローム遺跡の巨木たち
一人できる!の実践者

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文:田口ランディ


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