地雷をなくすためには?

インパク会場

「今から地雷を掘りにいきます!」
と、いきなり日本を飛び立つ必要はありません。
 すでに現地で活動している人たちを、日本から資金面で援助してあげることだって、とても大切なこと。世界中で様々なNGOや、政府の団体、軍などによって地雷撤去が行われています。ここではその中の一つで、イギリスに本部をおき、世界中で地雷や不発弾などを撤去しているNGO「ヘイロートラスト(The Halo Trust)」を紹介します!

1$で約1平方メートルの地雷原を安全な土地に変えることができるんだ!
 

 
地雷撤去作業チームは1チームに3つのセクション、合計33名
 地雷原で作業を行うチームは、図のように1チーム3セクションの33名で編成されています。

ディマイナー(地雷除去員)1セクション7名×3
セクションコマンダー1セクション1名×3

ドライバー、メカニック計4人
サポートスタッフ2人
フィールドオフィサー2人
チーム責任者のマネージャー1人

地雷除去チーム編成図

チームを編成・維持するための
年間費用は338,300ドル
(約4,000
万円)

 新たに地雷撤去チームを作り、活動するためには、初期の3週間のディマイナー(地雷除去員)のトレーニングや移動の為のジープ、トラック、基地やスタッフとの交信用無線機、救急医療品、防護具、保険、燃料費、人件費などを合わせて338,300ドル(約4,000万円)が必要となります。現在活動中のチームを1年間維持するための費用は、トレーニングや機材の購入などが必要ないため235,950ドル(約2,800万円)となります。

 日本のNGO「難民を助ける会(AAR)」が出版した絵本「地雷ではなく花をください」の収益などにより編成されたチームは、カンボジアにおいて1996年から1999年に、テニスコート1195面分に当たる310,795平方メートルの地雷原を安全な土地に変え、地雷378個、不発弾448個を処理しました。

地雷撤去の一連の流れ

 ディマイナーの作業は原則的に毎月1日から23日までで、月末までの7〜8日が休暇となっています。毎週末が休みではない大きな理由の1つは、撤去現場から自宅が遠いディマイナーが全体の6割以上いるため、毎週帰宅すると交通費が大きな負担になるからだそうです。 


資金があれば更に奥地の地雷原に入れる!

除去に使用される道具類
除去に使用される道具類
 カンボジアヘイロートラストは現在まで100カ所以上の地域から地雷を完全に除去してきましたが、まだ地雷撤去が必要な地域は数えきれません。特に西北部の国境付近には地雷原が集中しています。中東北部の密林地帯にも数多くの地雷が存在しますが、車やトラックが通るために道や橋の建造から始めねばならず、まだまだ撤去開始までには時間を要します。

 ヘイロートラストのスタッフは「支援が集まれば、もっと多くの地雷原に入れます。難民を助ける会を通じての絵本の収益やJAHDSなどからの支援活動で、多くの地域が人の住める地区に戻りました。日本の皆さんに感謝しています。これからもぜひお願いしたい!」と私達に熱く語っていました。

壁に張ってある写真

 壁に貼ってある写真を指差しながら、「この泥沼を通って現地に行かなくてはならないのだ!」と語るヘイロートラストのスタッフ。橋や道路が雨季に流されてしまうことも多い。

 また、奥地には樹木の間に張り渡された線に触れると爆発するタイプの地雷が残されているので、困難は山積みであるという。


地雷除去完了地図

 壁面に掲げられた大きな地図上には現在までにヘイロートラストが地雷除去を完了した地域を黄色のシールで、現在活動中の地域が青いピンで、今後活動を展開していく未除去地域が赤のシールで示されている。

 カンボジア西北部のタイとの国境付近にまだ多くの地雷が残っている、内戦時代のクメール・ルージュの退路付近が特に多い。


吉村&ディマイナー
イギリスのNGO「 THE HALO TRUST(ヘイロートラスト)」で働くディマイナー(地雷除去員)と、神戸元気村のスタッフ
 

 まず、調査隊が地雷原の様子や効果を調査し、その後の計画などを考えながら撤去の優先順位を決める。決定地区の地図を作成し、地雷除去員の割り振りをする。現在は一人一地区を担当する方法で撤去活動をしており、30分間集中して活動し、10分の休憩が繰り返される。朝は6時には基地から出動する。バイザーと防弾チョッキを着ていると、かなり暑くなる。

吉村&お恵ちゃん
地雷撤去の見学には危険がともなうため防弾チョッキを着た。防弾チョッキは頑丈そうだが素手。かなり蒸し暑い。

 ヘイロートラストのディマイナーは全員がカンボジア人。地場産業がほとんどないカンボジアでは現金収入につながる仕事が少なく、自分たちの住む土地を安全にできる誇り高い仕事でもあるため、ディマイナーを希望する人は多い。

除草用トラクター

 地図を元に、除草作業専用トラクターが入れる道を確保する。トラクターには半径6メートルのアームと除草カッターが装備されている。亜熱帯の地域なので草の生育が早く、草刈りに時間がかかる。作業の進展の為にはこのトラクターが大活躍する。まず人手でトラクターの入る道の地雷や不発弾を撤去し、地雷原の上部から除草カッターで草を刈りとる。

この時、作業中のトラクターから半径100メートルは、立ち入りが禁止される。これは、トラクターが地雷を踏み、事故が起こる事があるからだ。トラクターの種類は、ボルボ製やオランダ製、日本製など何種類かあり、現在は11台保持している。

 日本からの政府開発援助金(ODA)で購入したボルボのトラクターもあった。これはアームの先が除草カッターだけでなく大きなショベルにとりかえられるので、土ごと地雷原を掘り、別の場所にその土を広げて地雷除去員が探知機で地雷や不発弾、金属片を探すこともできる。このトラクターはまっすぐに地雷原を進んでゆけるので、かなり効果があるとのことである。しかし、問題は重量で、地雷原の近くのほとんどの橋は10トンを越える車両は通行できない。

「ひとつひとつ慎重に手作業」

 この地球上からすべての地雷をなくすためには、地雷の撤去もさることながら、「地雷を作らない・使わせない」ことが重要。ICBLという団体は地雷廃絶へ向けてのキャンペーンを世界中で繰り広げています。

ICBLバナーICBL(International Campaign to Ban Landmines)
http://www.icbl.org/

あなたもできる!!地雷撤去

ボランティア団体「神戸元気村」では、ポストカードやステッカーなどを販売しています。1口1000円より。収益は全て地雷撤去基金として、THE HALO TRUST へ送られ、地雷撤去活動に使われます。あなたにもできます!!

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