ひとつひとつ慎重に手作業

インパク会場

「機械でやればいいじゃん?」

 残念ながらそうはいきません。専門家が新たな機械の開発に取り組んでいますが、機械では全ての地雷を除去することは現状では不可能です。しかも地雷がなくなれば後はどうなってもいい、なんてのも困ります。撤去をした後に人が住んだり、農業ができるように、周辺に住む人たちや、撤去を行う人の安全を考えたやりかたを「人道的地雷撤去」と呼びます。

それは、「ひとつひとつ、慎重に手作業」なのです。

 

金属探知機による作業
 ディマイナーは朝6時から現場に向かい、気の遠くなるような作業を繰り返します。1人が1地区を担当し、30分作業をして、10分休憩を繰り返します。

 まず、金属探知機のチェック。手で探知面から10センチを遮り探知音がでないことを確認。そして、中心に小さな釘が打ちつけてある木片をとりだす。これで、わずかな金属しか使用していない中国製のプラスチック製地雷などを感知するために必要な感度を確認する。この木片を探知機から10〜15センチの距離で通過させ、「ジジッ、ジジッ」という反応音を確認してから作業に入る。この探知機のテストは必ず毎回の探知機使用前に行われる。命綱である。

木片と金属探知機
木片と金属探知機

除草するディマイナー
 撤去で一度に進む範囲は、幅1m、奥行きが約20cm(金属探知機の探知面の大きさ)。まず、撤去をする場所の手元に1mの白い棒を横に置き、棒の周辺を金属探知してから両サイドに白い杭を立てる。草が残っている場合、草刈りハサミで刈り取り、探知機をゆっくり慎重に7〜8回往復させる。
 金属探知機をゆっくり何回も左右に動かしながら、地面内の小さな金属片も見逃さないように進む。何も反応しない時は、約20センチ前に1mの白い棒を置く。両サイドのピンを立てる前に、必ずその場所を念入りに探知する。数年前に、ピンを立てる時に探知が不備だった為に、地雷が爆発し片手を失ったディマイナーがいたそうだが、それ以来、事故は無いという。

戦闘が激しかった所は、鉄砲の弾や薬莢、爆弾の破片、
不発弾などが地雷の周辺に散乱している。
1個の地雷が発見されるまでに、100回近く他の金属を見つけ、
地雷の数の2倍以上の不発弾が発見される。

何かが地面の下で反応している
 金属探知機が「キュー、ジジッ、ジジッ」と反応音をだすと、その音が強くなる所を囲むように10センチ程の白いピンを3本置き、さらに、探知機が反応するポイントを絞ってゆく。
 真上からスコップや棒が当たると地雷が爆発してしまうので、まず小さなスコップで、探知機が強く反応する地点の15cmほど手前に幅15〜20cm、深さ5cmほどの溝を掘る。
 専用の棒で溝の側面から2cmづつ、20カ所ほどゆっくり穴をあけ進んでいき、地雷の有無を確認する。
掘ってゆくディマイナー
 何も当たらない時は、再び側面を先の曲がったスコップで削り、土をかき出し、その土を確実に金属探知機で確認する。そして、穴の中も金属探知機で側面を調べ、反応するものを絞ってゆく。

ディマイナー(大)

休憩中 発見までは、数時間かかることもある。地雷や不発弾が発見された場合は、原則的にその場所でプラスチック爆薬などを用いて爆破処理を行う。30分の集中した時間があっという間に感じる。作業現場の所々に、4本の黒い棒で囲まれた約1平方メートルの場所がある。これは地中から発見された金属片、爆弾の破片や薬莢などを集めて置くところである。迫撃砲の羽なども無造作に置かれていた。 
 防弾チョッキと顔面の保護バイザーをして、亜熱帯気候の炎天下を歩くと、それだけでも背中を汗が流れ落ちます。慎重に作業をしていると、その暑さが緊張で倍増するように感じました。

ところで、カンボジアってどんな国なの?

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